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固定相とそれに接触しながら移動する移動相に試料を導入すると、固定相に対する溶解や吸着の程度の違いにより 物質の移動速度は異なります。このことを利用して混合物を分離および構成成分の定性・定量分析を行う分析手法を クロマトグラフィーといいます。ガスクロマトグラフィー(GC)は移動相として気体を使用する手法です。 GC/MSはその後段に質量分析器(MS)を設置したものです。MSはイオン化した分子に電場・磁場をかけることで、 質量数ごとに分離する装置で、GCにより分離した物質をさらに質量数ごとに分離することで、化合物の構造解析や 定量分析を行うものです。
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上のスペクトルは、PCBsを含む試料を測定したものです。一番上がTIC(Total Ion Chromatogram) とよばれるスペクトルで横軸は時間であり、カラム内の保持時間の差からGCによって成分ごとに分離された様子がわかります。 後段のMSで質量数ごとに分離することにより、中段および下段のようなスペクトルを得ることができます。 それぞれ、H5CBs(ベンゼン環の水素が五つ塩素に置換されたPCBS)、H6CBs(同六置換体)であり、各ピークは 異性体(塩素の置換位置の違うもの)を表してます。 各ピーク面積は試料中濃度と対応しているため、異性体ごとの濃度まで知ることができます。